海外移住のメンタルヘルスとコミュニティ:計画的に偶発性を呼び込もう【留学・就職・転職】

感性が近い人たちが集まるコミュニティに属することで、心的健全性を得られる。

一方、そういったコミュニティは偶発的にしか見つからない、故にコミュニティの運営者は感謝される。

four person hands wrap around shoulders while looking at sunset

ヒトは社会的動物

1人で勉強していても、1人でお金を稼いでいても、何だかつまらないな、と思うことありませんか?

人間には、コミュニティに属したいという潜在的な欲望があります。

オンラインサロンの流行りはもちろんのこと、お金や肩書ではなくビジョンによって集まったスタートアップ、そしてマルチや宗教、政治団体も。

人間の、コミュニティに属したい欲を上手く活用しています。

さらに、どこのコミュニティにも属さず疎外感を感じていた人に対して手を差し伸べるコミュニティには、熱狂的な「繋がり感」が生まれます。

結果的に、ある種「洗脳」されてしまい、高額な壺を買ってしまったり、他のコミュニティに迷惑をかける活動をしてしまう人たちが出てきてしまいます。

それは極端な例として、社会的動物である人間が、どこかのコミュニティに属しているという感覚は必要不可欠です。

学校や会社、地域コミュニティ、スポーツクラブ、友達の輪など、どんなコミュニティでも構いません。

ただ、コミュニティに属しているという感覚、自分に居場所があるという感覚が重要。

そして、「誰かに必要とされている感覚」がさらに重要です。

NHK

研究論文でも、「社会とのつながりが少ない」ことは、死亡リスクが約1.9倍になることが示されています。

これは、飲酒や喫煙、そして運動不足や肥満よりも大きい数値です。

いかに孤独が人間の健康状態(身体および精神)に影響を与えるかを示唆しています。

海外ではコミュニティに属せず孤立しがち

外務省調査

留学や就職・転職などで海外に移住すると、ほとんどの場合は自分のいたコミュニティを飛び出し、慣れない環境で、何も繋がりのないところに住み、生活することになります。

すると、言語や文化の壁、既にできあがったコミュニティへの入りづらさから、なかなかコミュニティに属しているという感覚を得られず、孤独を感じてしまう人も多いのではないでしょうか。

実際、海外に住む日本人を対象に、外務省が孤独や孤立の実態を把握するために行った調査で「孤独を感じる」と答えた人の割合は全体の45%でした。

成功の再現性は低いが、失敗の再現性は高い

person holding maple leaf

海外在住の半数近くが孤独を感じているという現状。

SNSや大学の留学報告では、海外生活のキラキラした側面ばかりがフォーカスされがちです。

失敗を大っぴらに話したくはないのが人間です。

ただ、約半数の人は孤独を感じていたことを鑑みると、良い面だけが切り取られてしまっている、あるいは生存者バイアス*がかかってしまっていると言えるでしょう。

*認知心理学用語。失敗例を考慮せず、成功例のみを基準に判断してしまうこと。

私も、留学や仕事で海外に行ってみたものの孤独を感じてしまい、鬱になってしまったり、帰国することになってしまった人を見てきました。

ここで重要なのは、成功面ではなく失敗面に着目することです。

留学や海外就職などの海外移住に限らずですが、「成功の再現性」は低いです。

成功は複雑な要素が絡み合い積み重なっている上に、運の要素も大きいです。

したがって、成功例と全く同じことをやってみても、成功できない可能性が高い。

一方で、「失敗の再現性」は高い。

つまり、他人の失敗から学びを得ることができれば、失敗を回避できる可能性が高いということです。

失敗を回避することで、成功確率を上げることに繋がるということですね。

ただし、人それぞれで失敗の基準は異なります。

同じ出来事でも、ある人は成功とみなし、ある人は成功とみなすかもしれません。

海外で数か月も過ごすことができただけで大成功かもしれないし、数か月しか過ごせなくて大失敗かもしれない。

したがって、何を失敗とみなすかは人により異なります。

故に、ある他者がなぜ失敗したのかの分析は、自分自身の基準をベースに自分で行う必要があります。

トビタテ!の留学大図鑑には、2000名以上の体験談が掲載されています。

成功談がほとんどかもしれませんが、課題や悩みなどの経験を探し出し、自分の基準と照らし合わせてみてください。

どうしたら失敗の確率を減らせるか。どうしたら今の自分が抱えている悩みや課題を、これからの失敗に繋げないようにできるか。

ChatGPTなどの生成AI等も活用し、分析してみてください。

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ちなみに、海外から日本に仕事や留学で来ている人に関しても、同じことが言えると思います。

日本は閉鎖的なコミュニティであると言われます。そんな環境で、なかなか友達ができず、孤立してしまっている人も多いです。

日本人は、既存の友達の輪に、別のコミュニティの人を入れない傾向にあると思います。

したがって、コミュニティが広がらず、常に閉鎖的。よく海外出身の友人にも言われます。

そういった背景もあり、私は海外から友人が来ると、他の全く別の友達を含めて会ったりするように心掛けています。

海外から来て、日本人や日本在住の友達を作りたい人はたくさんいますし、海外に興味はあるけれども海外出身の友達が作れなくて困っている日本人もたくさんいます。

そんな人たちのニーズを繋ぎ合わせるだけで、みんなハッピーです。実践しないわけにはいかないですよね。

プランド・ハップンタンス理論(計画された偶発性理論)

新たなコミュニティに属するって、実際難しいですよね。

属するコミュニティが、どんなコミュニティでもよかったら簡単なのですが。

例えば、入社した会社がパワハラ・セクハラだらけだったら、その会社コミュニティでは心的安全性を感じることができません。

ただし、留学、研究室、スタートアップなど、ある程度自分と共通の目的、価値観、ビジョンを持った人たちが集まるコミュニティは、心的健全性を得られるコミュニティである可能性が高いと思います。

海外の場合では、留学生コミュニティ・日本人コミュニティであれば、自分と同じ悩みや課題、バックグラウンドを持つ人が集まっているでしょう。

日本語コミュニティであれば、日本に興味のある(≒自分のバックグラウンドに興味を持ってくれている(≠自分自身に興味がある、であることには注意))人たちが集まっています。

そうした心的健全性を得られるコミュニティに属することができれば、孤独が解消され、充実した生活を送ることができるでしょう。

ただ、実際に属してみなければ、自分にとって心的安全性が高いコミュニティなのかわかりません。

でも、そうしたコミュニティに属することができるよう一歩を踏み出さなければ、そのコミュニティは心的健全性を得られるコミュニティである可能性が高いんだなあ、というだけで終わってしまいます。

では、どうしたらよいのでしょう。

答えは、「偶発的に」心的健全性を得られるコミュニティに属せるような出来事を引き寄せるよう行動してみること。

たとえば、日本在住の方であれば、留学・ワーホリで海外に行き、現地の日本人に話しかけてみる。自分の興味のあるイベント(例えば旅や車など、何でもよい)に参加してみる。自分の考えについてSNSで発信し、誰かと交流してみるなど。

始めは1対1の対話で終わるかもしれませんが、そこから新たなコミュニティへ導いてもらえるかもしれません。

海外在住でも同じ。スポーツを始める、1日に最低1人に話しかけてみるなど、小さなアクションを起こしてみると良いでしょう(ここが難しいポイントでもありますが)。

結果として、予想としていなかった方向に物事が進み良い成果に繋がります。

つまり思ってもみなかったコミュニティに属することになり、そこで心的健全性を得られる可能性が高くなります。

これは、スタンフォード大学のクランボルツ教授の提唱する「プランド・ハップンタンス理論」(日本語で「計画された偶発性理論」)の考え方です。

クランボルツ教授は、人生の偶発性(ハプンスタンス)を認め、それを積極的にキャリア形成に取り入れるべきだと主張しています。

クランボルツ教授が提唱するプランド・ハップンタンス理論における「5つの行動指針」:

1. 好奇心を持って新たな学びを追求する

好奇心を持って積極的に新しいことを学ぶことは、未知の機会を発見し、自身のスキルセットを拡大するために不可欠です。未知の分野に挑戦することで、偶然の出会いや予期せぬキャリアのチャンスを引き寄せる可能性が高まります。

2. 持続性を持ち、挑戦を続ける

逆境や失敗に直面したときに諦めず、持続的に努力を続けることが重要です。持続性を持って取り組むことで、長期的な成功につながる基盤を築くことができます。また、困難を乗り越える過程で得られる経験は、将来のキャリア形成において貴重な資産となります。

3. 柔軟性を持つ

変化に対応する柔軟性を持つことは、キャリア開発において極めて重要です。予測不能な出来事や状況の変化に対応するためには、自分の計画や考え方を柔軟に調整する能力が必要です。この柔軟性が、新たな機会を最大限に活用する鍵となります。

4. 楽観的な姿勢を持つ

楽観的な姿勢を持つことは、不確実な状況や困難な状況でも前向きに取り組む助けとなります。楽観的な人は、問題を機会と捉え、より創造的で効果的な解決策を見つけることができる傾向にあります。

5. リスクを冒す意欲

新しいチャンスを追求する際には、リスクを取ることがしばしば求められます。リスクを恐れずに新しい道を探索する意欲を持つことで、他の人が見過ごすかもしれない機会を捉えることができます。

**

勇気を持って一歩踏み出そう

要するに、今いるコミュニティで心的健全性を得られていない方は、行動に向けて一歩踏み出すしかない、ということです。

一歩踏み出すことをしなかった、自分のコンフォートゾーンから出ようとしなかった、それが先人たちの失敗の1つだったりします。

日本は、出る杭を打つ文化です。「変」はコミュニティから疎外されてしまいます。

ただ、みんな同じではつまらないですよね。本来は「変であることに価値がある」はずです。

世界は広いです。自分を必要としてくれるコミュニティは必ずあります。

勇気を持って踏み出した一歩はきっと、何かしら良い偶然が舞い込む「きっかけ」になると思います。

その「きっかけ」を掴むために、ぜひ「きっかけポータル」の発信をフォローしていってください。

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きっとステキなきっかけが見つかります。

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