“楽しそう”から始まった20以上の挑戦。7カ国を巡るトビタテ留学へ|西田鈴望さん

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「興味はあるけれど、自分にはできないかもしれない。」
「応募して落ちたらどうしよう。」

きっかけポータルでさまざまなプログラムを紹介する中でも、そんな不安から最初の一歩を踏み出せない学生は少なくありません。

今回ご紹介するのは、摂南大学国際学部に所属し、現在休学中の西田鈴望(にしだ・すずの)さん

大学入学後、「旅するボランティア 与論島編」をはじめ、第49回JALスカラシッププログラム、かめのり未来をつくるリーダーシッププロジェクト、日本・モンゴル学生フォーラムなど、20以上の学外活動に参加してきました。

現在は「トビタテ!留学JAPAN」17期生として、チェコ、ドイツ、フェロー諸島、スウェーデン、デンマーク、オランダ、マラウイの7カ国・地域を巡る13カ月間の留学に挑戦しています。

これだけ聞くと、もともと自信にあふれ、何にでも挑戦できる学生だったように思えるかもしれません。

しかし、西田さんはかつて「学校なんてなくなってほしいくらい嫌いだった」と話します。最初から“すごい人”だったわけではありません。

学習障害によって勉強に苦しんだ経験、コロナ禍でなくなった念願の海外留学、そして大学1年生で踏み出した最初の一歩。

20以上の挑戦、そして現在の7カ国・地域を巡る留学へと、どのようにつながっていったのでしょうか。フェロー諸島滞在中の西田さんにお話を伺いました。


トビタテ留学(ドイツでの活動、同期と)の様子

本日はお時間をいただきありがとうございます。まず、現在取り組んでいる留学について教えてください。

摂南大学国際学部国際学科に所属していて、大学3年生が終わったタイミングで1年間休学しています。現在は「トビタテ!留学JAPAN」を活用して、13カ月間の留学に取り組んでいます。

交換留学ではなく、基本的にすべて自分で受け入れ先を探して、学校や教育機関に連絡を取りました。トビタテでは実践活動が必要なのですが、私の場合は13カ月間ほぼずっと実践活動をするような計画にしています。

チェコではシュタイナー教育の学校を訪れ、ドイツでは子ども向けサマーキャンプのカウンセラーとして活動しました。現在はフェロー諸島にいて、ここではフォルケホイスコーレに滞在します。

そのほかにもスウェーデンの自然学校、デンマークのエフタスコーレ、オランダのイエナプラン教育の学校、最後にマラウイを訪れる予定です。

交換留学ではなく、留学先を一つひとつ自分で探しているのですね。そもそも、なぜ教育をテーマにさまざまな国を巡ろうと思ったのでしょうか?

これまで母校などで探究学習のメンターとして活動してきました。ただ、日本でも探究学習に力を入れている一方で、先生の人数に対して生徒が多く、一人ひとりを見ることが難しいと感じる場面がありました。

私自身はいろいろなプログラムに参加する中で、「自分はこういうことが好きなんだ」「次はこれをやってみたい」という新しい発見が何度もありました。

そうした経験から、子どもたちにも「対話」と「体験」をもっと届けることができれば、新しい可能性を見つけるきっかけになるのではないかと思うようになりました。


トビタテ17期に採用されました

現在は教育をテーマに留学していますが、もともと教育に関心があったのでしょうか?

全然です。むしろ、もともとは教育がめちゃくちゃ嫌いで、勉強もすごく嫌いでした。「学校なんてなくなってほしい」と思うくらい嫌いでした。

小さい頃から算数だけが本当にできなくて、特に文章問題が全然理解できなかったんです。頑張っても分からなくて、家でも何度も教えてもらいました。

中学2年生の時に学校のカウンセラーにつながり、そこで学習障害があることが分かりました。それまでずっと、「どうして自分だけできないんだろう」と思っていました。

理由が分かったことで、気持ちは楽になりましたか?

理由が分かったこと自体はよかったのですが、「頑張ってもできないんだ」と思ってしまった部分もありました。

高校や大学はどうすればいいんだろう、とかなり焦っていました。ただ、海外に行きたいという気持ちだけはずっとありました。

そこで、海外留学ができる高校を選んだのですね。

1年間オーストラリアに留学できる高校を見つけて、そのために他府県の私立高校を受験しました。英語もかなり頑張って、合格して、「これでオーストラリアに行ける」と思っていました。

でも、入学したのがちょうどコロナ禍で、最終的に出発の1カ月くらい前に留学がなくなってしまいました。

そのために1年半くらい受験勉強をして、高校まで選んだのに「結局行けないんじゃん」となってしまって。「本当だったら今ごろ留学しているはずなのに、なんでここで頑張らないといけないんだろう」と思っていました。


日本財団ボランティアセンター「旅するボランティア」与論島編での1枚

大学入学後、最初に参加した学外活動が日本財団ボランティアセンターの「旅するボランティア 与論島編」だったそうですね。どうやって見つけたのでしょうか?

はじめはInstagramで見つけました。でも最初は「旅費無料でこんなところに行けるわけないでしょ。絶対怪しい」と思って、一度スルーしたんです。

でも気になって、Xで「旅するボランティア」と検索しました。そうしたら、きっかけポータルの記事が出てきました。

そこからいろいろ調べて、「落ちる可能性は高いかもしれないけど、応募するだけなら無料だし、とりあえず受けちゃえ」と思って応募しました。そうしたら参加することができました。

「怪しいプログラムではないか」を確認するために検索し、きっかけポータルにたどり着いた西田さん。それが、20以上の学外活動につながる最初の一歩になりました。

実際に与論島へ行ってみて、何か変化はありましたか?

めちゃくちゃ楽しかったです。午前中はボランティアをして、午後は自由に過ごしたりしていました。

それ以上に大きかったのが、いろいろな人に会うことが楽しいと気づいたことです。大学の中では、学外活動に積極的に参加しているような人にあまり出会えなかったので。

そこから大学では「何をしているの?」と思われるくらい、大学外の活動にのめり込むようになりました。


2024 JALスカラシッププログラムでの様子

その後、JALスカラシッププログラムや、かめのり未来をつくるリーダーシッププロジェクト日本・モンゴル学生フォーラム台湾観光庁 台湾鉄道の旅モニターなど、本当にさまざまな活動に参加していますね。最初から自信を持って応募できたのでしょうか?

最初から自信があったわけではありません。私は、経験が少ないと自信もなくなると思っていて。

でも、いろいろな活動に参加するうちに、その経験自体が自信になっていきました。「じゃあ次はこれもやってみたい」と思えるようになったんです。

特に、自分自身の変化を感じたプログラムはありますか?

「かめのり未来をつくるリーダーシッププロジェクト」は印象に残っています。

それまで私は、リーダーシップというと「前に立って、みんなを引っ張ること」だと思っていました。でも、そこで「人の話を聞くこともリーダーシップだよ」と教えてもらったんです。

リーダーシップにもいろいろな形があると分かりました。活動を重ねて経験が増えて、自分にもできることがあると思えるようになったことは大きかったです。

プログラムを通じた人とのつながりも増えたのではないでしょうか?

すごく増えました。例えばJALスカラシッププログラムではアジア各国から参加者が来ていて、ミャンマーやラオスなど、普通に大学生活を送っていたらなかなか友達になれない国の人ともつながることができました。

その時に出会ったフィリピン代表の子とは、2年後にセブ島で再会しました。今でも連絡を取っています。

プログラム自体は数日や数週間でも、そこでできた友達との関係はその後も続いていく。それも学外活動のすごく面白いところだと思います。

JALスカラシップと出会った友達とセブ島留学で再会

20以上の活動に参加し、今は7カ国・地域を巡る留学をしていると聞くと、「もともと行動力のある特別な人だからできる」と思ってしまう人もいそうです。

それが結構つらいんですよね。

SNSにいろいろな活動を載せていると、参加すればするほど「すごい人」みたいに見られるようになってしまって。

誰でもできるのに、「この人だからできる」みたいに思われてしまう。それが一番つらいです。

私は別に、すごい人になりたいから参加しているわけではないんです。本当に「楽しそうだから」という理由で応募しています。

実際、周囲から「応募したいけれど自信がない」と相談されることもありますか?

あります。「参加したいけど落ちるのが怖い」とか、「応募しようか迷っている」と相談されることがあります。

私は「書いて送るだけじゃん」と思ってしまうタイプなんですけど、それだとアドバイスにならないんですよね。

だから、こういうインタビュー記事などで実際に参加した人の姿を見ることで、「自分も応募してみよう」と思う人が増えたらいいなと思っています。


現在滞在しているフェロー諸島も、当初から行こうとしていたわけではないそうですね。

そうなんです。大学1年生の頃から「絶対にフォルケホイスコーレへ留学する」と決めていて、行きたい学校も2年くらい前から決めていました。

でも、その学校は先着順で、申し込んだ時にはもう間に合わなくて受け入れてもらえませんでした。他の学校もほとんど募集が終わっていて、「もう行けるところがないかもしれない」という状況でした。

それでもデンマーク語のサイトまで探して、ChatGPTなども使いながらなんとか読んで、めちゃくちゃ調べました。そうしたら、フェロー諸島にまだ応募できる学校が一つ残っていたんです。

第一希望に行けなかったことが、結果的には全く違う場所へのきっかけになったのですね。

今思えば、最初の学校に受け入れてもらえていたら、私はここには来ていないんですよね。

今いる学校は14〜15人くらいのすごく小規模なところで、先生との距離も近いです。私の部屋の隣には校長先生が家族と住んでいて、一緒にご飯を食べたり、アイスを食べたりもします。

しかも私はもともとアートが大嫌いで、国際系や教育系を学べる学校へ行くつもりでした。でも今の学校はアートや自然が中心です。

一度うまくいかなかったからこそ、自分では選ばなかった世界に来ることができました。

何かに落ちたり、うまくいかなかったりして諦めそうになっている人にも伝えられる経験ですね。

本当にそう思います。

大学入試でもプログラムでも、一回うまくいかなかったことでずっと落ち込んでしまう人もいると思います。

でも今回の経験で、方法を探したらもっといっぱいあるんだと気づきました。

一回落ちたからといって諦めずに、いろいろな方法を試してほしいです。


MIRAI CREATOR’Z 2026にも選出されています

今回の留学を始めてから、教育に対する考え方にも変化はありましたか?

めちゃくちゃ変わりました。

留学前は「教育を変えたいなら起業しないと」「新しいことを始めないと」とかなり考えていました。自分が本当に何をしたいのかというより、「教育を変えるために何をするべきか」をずっと考えていた感じです。

その考えが変わったきっかけの一つが、ドイツでサマーキャンプのカウンセラーとして働いた経験でした。

ドイツでは、どのような活動をしていたのでしょうか?

子どもたちが1週間ほどキャンプに来て、私たちがカヤックを教えたり、火起こしをしたり、アーチェリーをしたり、ゲームをしたりしていました。

そこで一緒に働いている人たちに「なんでここで働いているの?」と聞いたら、「楽しいからだよ」と言ったんです。

それを聞いて、「確かに」と思いました。

本人たちも楽しいし、そこで働くことで子どもたちにも良い影響を与えられる。子どもと対話したり、新しい体験を届けたりもできる。

教育を変えるためにすごく大きなことをしなくても、自分も楽しくて、相手も楽しめる教育があるんだと思うようになりました。


母校で、挑戦することを後押しする講演を数回実施

最後に、何かに挑戦してみたいけれど、最初の一歩を踏み出せずにいる学生へメッセージをお願いします。

「失敗を恐れずに挑戦してください」と言うと、ちょっとありきたりすぎると思っていて。

もっと小さなことでいいと思うんです。写真を撮ってみるとか、美味しいご飯屋さんへ行ってみるとか、新しい人と話してみるとか。

大きな挑戦じゃなくてもいいから、自分が少しでも興味を持ったことをやってみてほしいです。

私がいろいろなプログラムに応募する理由も、本当に「楽しそうだから」なんです。すごい人になりたいから参加しているわけではありません。

みんながショッピングに行ってかわいい服を買ったり、美味しいご飯を食べに行ったり、スタバの新作を飲みに行ったりしますよね。

私にとって学外活動に応募することも、それとあまり変わらない感覚です。

挑戦をそんなに大きなものだと思わずに、まずは自分が「楽しそう」と思ったことをやってみてほしいです。

これから取り組んでいきたいことはありますか?

これまでいろいろな機会をいただいたので、いただいた恩を返したいという気持ちはすごくあります。

今の自分がやりたいことにつながっているのも、これまでさまざまな活動に参加させてもらったからです。

これからも教育に関わっていきたいですし、挑戦してみたいと思っている人の背中を押したり、いろいろな機会を届けたりする側にもなりたいと思っています。

今後、日本をさらに発信すべく、日本茶エバンジェリストとしても活動中

学習障害によって勉強に苦しみ、楽しみにしていた高校時代の海外留学もコロナ禍によって中止となった西田さん。

それでも大学1年生の時、「楽しそうだから」と応募した一つのプログラムをきっかけに、20以上の学外活動へと世界を広げていきました。

最初から自信があったから挑戦できたのではなく、一度挑戦した経験が自信になり、その自信が次の挑戦につながっていったことが伝わってくるストーリーです。

そして、第一希望の留学先に行けなかったことさえ、今ではフェロー諸島という想像していなかった世界につながる「きっかけ」になりました。

何か少しでも「面白そう」と思うものがあれば、まずは調べてみる。そして、応募してみる。

その小さな一歩が、数年後には想像もしなかった場所につながっているかもしれません。

きっかけポータルでは、海外へ一歩踏み出すきっかけとなるような国内外のプログラムや奨学金情報を紹介しています。

海外への往復交通費や現地での宿泊費などが無料となるプログラムも多数あります。

ぜひ「きっかけポータル」を通じ、自分が少しでも「楽しそう」と思える機会を探してみてください。

次の一歩を踏み出すのは、あなたかもしれません!

また、ぜひ西田さんのInstagramをフォローして、最新の活動の様子を確認してみましょう!

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