知らなきゃ損!紙リサイクルの基礎知識【結論:ホッチキスの芯は外さなくてOK】
!
紙リサイクルの基礎知識
皆さん、ごみの分別ってしっかり行っていますか?
家庭ごみの有料化に踏み切る自治体がある中で、「紙ごみ」だけは無料で回収してくれますよね。それってなぜなのでしょうか。
また、「紙」であっても、回収対象でない、すなわちリサイクルすることのできない「紙」も数多くあることをご存じですか?
今回は、日常生活に欠かすことのできない「紙」について考えていきましょう。
紙のリサイクル
みなさん、紙の原料は知っていますか?
現在、一般的に「紙」として使われているのは「洋紙」であり、その洋紙は「パルプ」と呼ばれるものから作られています。
そのパルプとは何かというと、細かくした木材に化学物質を加えて煮ることで分離された紙の成分となる植物繊維のことです。近年では、そのパルプを古紙からも作製することができるようになりました。これが、いわゆる紙の「リサイクル」ですね。
一方、紙にはたくさんの種類がある上、真っ白なままでリサイクルに出してしまうことはありませんよね。したがって、紙についているインクなどの不純物を取り除かなくてはなりません。一部の紙では、その不純物の除去が非常に困難であるため、リサイクル対象とはされていないのです。
ちなみに、木の代替としてのケナフを利用した紙の生産も注目されています。ケナフは、成長が非常に速く、収穫できる繊維も多いため環境負荷の小さい紙の原料として評価されています。小学校の総合学習の授業などで育てたことのある方も多いのではないでしょうか。
なぜリサイクルする必要があるの?
では、なぜ紙をリサイクルしてまた紙を作る必要があるのでしょうか。木なんてどこにでも生えていますよね。その木を切ってきて、紙の原料にしてしまえば良いのではないでしょうか。
紙をリサイクルする意義
なぜ紙をリサイクルするのか。公益財団法人古紙再生促進センターによると、そのリサイクルには以下の4つの意義があると言われています。
原料の安定確保
資源の有効活用
森林資源の持続可能な利用
廃棄物減量化
公益財団法人古紙再生促進センター
まず1つ目の「原料の安定確保」から考えていきましょう。実は、日本の国土の3分の2は森林で覆われています。
(森林は、森:木が3つ、林:木が2つだから3分の2と覚えましょう)
しかしながら、林野庁によると2017年の日本の木材自給率はたった36.1 %です。深刻な高齢化と後継ぎ不足、低価格な海外産木材等により、日本の森林の多くは活用されずに放置されてしまっているのが現状です。
したがって、海外からの輸入に頼らなければ、紙を生産することができません。
一方、古紙は毎日日本全国どこからも発生していますね。こうした古紙を原料として活用することで、輸入に頼らずともある程度原料を安定確保することができるのです。
また、2の「資源の有効活用」という点も同様です。古紙を単に捨ててしまっては、ただのゴミです。しかし、紙を作るための原料として用いれば、ゴミではなく資源として有効活用することができるのです。
次に、3の「森林資源の持続可能な利用」について考えてみましょう。紙を作るためには、従来であれば気を伐採する必要がありました。木は毎年成長しますから、ある程度の伐採量であれば、森林は再生し、持続可能です。
しかしながら、近年の人口爆発に伴う紙需要の増加から、森林の伐採スピードが上がってしまいました。結果として、森林の再生スピードを伐採スピードが上回ってしまい、森林破壊が進んでしまっているのです。
一方、紙の原料として、古紙を使うことができれば、森林由来の原料が少なくて済みますよね。したがって、古紙を原料として活用することで、「森林資源の持続可能な利用」につながるのです。また、森林保全に関する取り組みに、REDDプラスというものがあります。興味のある方は以下の記事も読んてみてください。
最後に、「廃棄物減量化」ですが、これはその名の通りですね。古紙をゴミとして捨ててしまえば、「廃棄物」です。しかし、古紙の原料として活用すれば、「資源」となります。資源として活用する量が増えれば、もちろん廃棄物の減量に繋がりますね。
こうした事実から、古紙をリサイクルすることで、循環型社会の形成に大きく貢献することができるのですね。
なぜ古紙を分別する必要があるの?
みなさん、ゴミを出す時にしっかりゴミを分別していますよね。実は、古紙にもいくつかの種類があり、種類ごとに分別しなくてはなりません。
古紙の回収日に、一挙に回収されるので分別していない人もいるかと思いますが、古紙の種類によって異なる製品が作製されるからです。しっかりと紙の種類ごとにまとめてからリサイクルに出しましょう。
- 古紙 → 製品
- 新聞 → 新聞用紙 コピー用紙
- 段ボール → 段ボール箱
- 雑誌 → 菓子箱(紙器用板紙)、書籍
- 雑紙 → 段ボール箱
- 飲料用紙パック → トイレットペーパー
リサイクルに出せない紙?
実はリサイクルに出すことのできない紙があるのをご存じでしょうか。
紙であるからといって、何でもかんでもリサイクルすることができるわけではないのですね。下記の例は、すべてリサイクルに出すことのできない紙です。
- かばんや靴などの詰め物(緩衝材)
- 昇華転写紙(アイロンプリント紙)
- 感熱性発泡紙(立体コピー紙、点字印刷物)
- 臭いのついた紙(石鹸や柔軟剤の包装箱)
- 食品残渣の付いた紙(ピザ、ケーキなどの食品を直接包装した容器)
- 蝋段(ワックス付き段ボール、輸入青果物・水産加工品を入れる段ボール)
- 不織布(マスク、簡易お手拭き、包装紙など)
- 使い捨ておむつなど(紙おむつ、生理用品、ペット用トイレシート)
- 合成紙・ストーンペーパー(地図、選挙ポスター)
- 石、ガラス、土砂、金属(工具、機械部品を含む)、木片、布類、プラスチック類
- 箔押しされた紙(金銀の折り紙など)
- 建材に使用される紙(壁紙、防水シートなど)
- 圧着はがき(公共料金の請求書)
- シール、粘着テープ(雑誌付録など)
- 複合材(通販用緩衝封筒など)
- カーボン紙・ノンカーボン紙(宅配便の伝票など)
- 感熱紙(レシートなど)
- 印画紙(写真)
- 新聞折込チラシ、雑誌、カタログに付録したサンプル類(サンプルが付いたままの新聞折り込みチラシ、雑誌)
- ラミネート紙、樹脂・アルミコーティング紙(酒パックなど)
- 硫酸紙(パーチメント紙、クッキングシートなど)
- 着色した果物類のクッション材(色の濃いもの)
- 防水加工された紙(紙コップ、紙皿、紙製のカップ麺容器など)
とてもたくさんありますね。知らなかったものもたくさんあるのではないでしょうか。
僕は一時期、牛乳パックがリサイクル大量だから、紙コップや紙皿もリサイクル対象なのでは、と思いリサイクルに出していました。よかれと思って出したものが、リサイクル業者の迷惑になってしまいます。これを機にしっかりと紙のリサイクル対象の見直しをしておきましょう。
※特殊な方法で紙コップをリサイクルしているところもあります。その場合、紙コップのみをしっかりと分別しなくてはなりません。
おわりに
みなさん、紙のリサイクルについておわかりいただけたでしょうか。紙を捨ててしまわずにリサイクルに出せば、廃棄物削減や資源の有効活用だけでなく、森林の保全にもつながるのでしたね。
一方、紙であればなんでもリサイクルに出せるわけではなく、注意が必要でした。リサイクルできない紙を認識し、紙を種類ごとにまとめてリサイクルに出すことを心がけましょう。
また、多くの人が裏側が印刷されていない紙も捨ててしまっていますよね。非常にもったいないので、裏側が白い紙(いわゆる裏紙)もメモ用紙や計算用紙として活用しましょう。
3Rのうちリサイクルよりも、リデュース、リユースの方が環境には優しいのです。僕は、裏紙ボックスを用意して、裏紙をできるだけ活用できるような工夫をしています。
また、そもそも印刷を裏表両面にすれば、裏紙を排出しない上に、紙の使用量も半分に減ります。さらに、近年では電子化も紙削減に貢献しています。限りある資源を使いつくしてしまわないためにも、紙の3Rを日頃から心掛けたいですね。
こちらも:欧米では4R!? 3Rって?【5R,7R,10Rも】
ちなみに…
古紙を回収に出す際、ホッチキスの芯は外す必要がないとされています。外すのが手間だということで古紙を燃やすごみに出してしまっていた人は、芯がついたままで良いので、リサイクルに出しましょう!
他記事:SDGs(持続可能な開発目標)とは?【ピコ太郎がアンバサダー?】
世界の環境首都!ドイツのフライブルク【環境政策とおすすめ観光スポット】
参考
公益財団法人古紙再生促進センター