森を守る!?REDDプラスってなに?【パックンマックンにも会えるかも】

REDDプラスとは?

REDDプラスという活動をご存じでしょうか?

REDDプラスとは、以下の長い英文の頭文字をとったものであり、それでも長すぎるので後半部分をプラスとして略したものです。

REDD+ : Reducing emissions from deforestation and forest degradation and the role of conservation, sustainable management of forests and enhancement of forest carbon stocks in developing countries (日本語: 途上国における森林減少・森林劣化に由来する排出の抑制、並びに森林保全、持続可能な森林経営、森林炭素蓄積の増強)

これらから読み取れるように、森林保全に関する取り組みですが、ほとんどの方が聞いたことすらないというのが現状なのではないでしょうか。わかりやすい日本語における説明文は以下のようになっています。

“REDD+(レッドプラス)とは、途上国が自国の森林を保全するため取り組んでいる活動に対し、経済的な利益を国際社会が提供する、というものです。これは、森林を伐採するよりも保全する方が、経済的に高い利益を生むようにすることで、森林破壊と温暖化を防止する施策です。

また、地域のコミュニティや、先住民族の権利も守りながら、このREDD+が実施されれば、気候変動や生物多様性の劣化をくいとめながら、地域の人たちの生活にも恩恵をもたらすことが期待されます。”

WWF

“森林は海洋に次ぐ炭素の貯蔵庫です。しかし、伐採や農地への転換のために森林が破壊されると、そこから大量の二酸化炭素(CO2)や他の温室効果ガスが大気中に放出され、地球温暖化を促進することとなります。

森林減少と森林劣化を減らすことが、温暖化による気候変動という地球課題への取り組みとして不可欠なのです。”

WWF

2015年に国連総会で定められた、「持続可能な開発目標」(SDGs)においても、森林や気候変動に関する目標が定められていることからもわかる通り、森林減少や森林劣化を減らすことによる、気候変動の抑制や、その地の生物多様性の保全は非常に重要な世界的な目標となっています。

森林破壊は、単に途上国(特に熱帯雨林地域)における問題だけではなく先進国も協力すべき課題です。なぜなら、多くの伐採された木々は、木材や紙として加工され、先進国に輸出されるためです

参考記事: 【知らなかった!】紙リサイクルの基礎知識

SDGs 13 気候変動に具体的な対策を

国連広報センター

SDGs 15 陸の豊かさも守ろう

国連広報センター

先進国にとってのメリットは?

途上国における、森林減少や森林劣化の抑制を支援することに、先進国にとってのメリットは存在するのでしょうか?

先進国にとっては、安い木材や紙が手に入れば十分であり、遠い地の森林が減少したところで知ったこっちゃないという考えをする方も少なくはないのではないでしょうか。

事実、途上国における森林が減少したところで、先進国には直接的な影響はありません。

しかし、先進国への資源輸出のために森林を切り開き資源を使いつくした地には、熱帯に特有の多量の雨で養分を流されてしまった痩せた土壌が残るのみで、豊かな森林を復活させることは容易ではありません。資源は有限であるため、徐々に先進国へ供給する資源も減少し、資源の高騰や品質の低下を引き起こすでしょう。

また、地球上において海洋に次ぐ二酸化炭素の吸収源である森林が減少することにより促される地球温暖化の影響は、国境を越えて先進国にまで広がります。もし、あなたが先進国中心主義の、先進国の住人であったとしても、これを聞くと少しは途上国の森林に気を配ろうという気になるのではないでしょうか。

REDDプラスの取り組みは、必ずしも途上国ばかりにメリットがあるわけではありません。当然、森林を所有する途上国に大きなメリットがあるのは事実ですが、支援した先進国も、気候変動抑制への貢献が評価されます。

“途上国が、森林減少・劣化の抑制により温室効果ガス排出量を減少させた場合や、 あるいは森林保全により炭素蓄積量を維持、増加させた場合に、 先進国が途上国への経済的支援(資金支援等)を実施するメカニズムがREDD+。

一方、支援した先進国も気候変動抑制への貢献が評価されます。REDD+は途上国、先進国ともにベネフィットが与えられる画期的な取り組みなのです。“ 

森から世界を変えるREDD+ プラットフォーム

SDGsにおいて、先進国・途上国が協力して持続可能な目標を目指している現在において、REDDプラスのような、先進国・途上国が一体となって取り組む活動は、非常に重要な意味を持ってくるでしょう

REDDプラスは、2013年の国連気候変動枠組条約(UNFCCC)第19回締約国会議(COP19)において基本的な枠組みが決定されました。今後は、2020年を目標に、国連下で世界的に取り組みが開始する予定となっています。

日本は、それに先駆けて取り組みを既に進めており、環境省やJICAにおいてその取り組みが紹介されています。

以下に参考サイトを挙げておきますので、ぜひ目を通してみてください。

日本における代表的な取り組み

“日本では、二国間クレジット制度(Joint Crediting Mechanism:JCM)によるREDD+の取り組みに期待が集まっています。
JCMは、気候変動対策の仕組みの一つで、優れた低炭素技術等の普及を通じ、地球規模での温暖化対策に貢献するとともに、日本の削減目標の達成に活用するものです。JCMは、日本と制度実施に合意した途上国(以下、ホスト国)の二国間で実施されます。

2015年9月現在、15の国と合意に達しています(モンゴル、バングラデシュ、エチオピア、ケニア、モルディブ、ベトナム、ラオス、インドネシア、コスタリカ、パラオ、カンボジア、メキシコ、サウジアラビア、チリ、ミャンマー)。

環境省

日本から低炭素技術等を提供し、ホスト国でGHG(温室効果ガス)の排出削減・吸収のための活動を実施、その貢献分を日本の排出削減目標の達成に活用するものです。

民間企業は、技術・サービスの提供や、現地での活動実施の主体として活躍します。取り組みを促進するため、環境省や経済産業省等の関係各省庁が支援事業を実施しています。”

環境省

上記のように、主にアジアを中心として幅広い国と提携を結び、REDDプラスの活動を行っています。こうした取り組みも、環境省のHPで詳しく紹介されているので、さらに知見を深めたい方は、目を通してみてください。

お笑い芸人のパックンマックンや、宇宙飛行士の野口聡一さんも、REDDプラスのサポーターであり、ユースの方々にはユースサポーターの募集もあります。私は実際にユースサポーターとしてイベントに参加し、パックンマックンにお会いすることもできました。興味のある方は以下のリンクからぜひ申し込んでみてください。

http://www.reddplus-platform.jp/youth/

紙のリサイクルに関する記事を以前に投稿しましたが、紙をリサイクルすることもREDDプラスにつながっています。気になる方はこちらもぜひ読んでみてください。
【 知らなかった 】紙リサイクルの基礎知識

また、企業や国のプログラムを利用して、渡航費・滞在費無料で海外に渡航し、現地の森林の様子を直接学ぶこともできます。こうしたプログラムの探し方や、応募のコツなどをこちらの記事にまとめてみたので、興味のある方はぜひ見てみてください。
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