「迷い=挑戦したいというサイン」-長瀬虹さんが語る“IPSA-NUS Summer School for Social Science Research Methods”体験談
海外プログラムに挑戦してみたいけれど、よくわからなくて怖いな。
そんな考えから、挑戦を躊躇してしまっている方も多いのではないでしょうか。
今回は、シンガポール国立大学で行われた社会学のサマースクールに参加された長瀬虹さんに、その挑戦の背景や体験、そして学びについてインタビューをさせていただきました!

多国籍な環境で過ごした2週間
本日はお時間をいただきありがとうございます。まずは自己紹介をお願いします。

こちらこそありがとうございます。長瀬虹と申します。
私は2024年に、オランダ・アムステルダム大学を社会学専攻で卒業しました。
卒業後は地元・福岡に戻り、社会問題に関するコンテンツをSNSなどで発信する活動をしています。
在学中にはシンガポール国立大学(NUS)のサマースクール「IPSA-NUS Summer School for Social Science Research Methods」に参加されたということで、本日はまずシンガポールでのご経験について伺っていきます。このサマースクールには、どのような経緯で参加されたのでしょうか?

私はアムステルダム大学で社会学を専攻していたので、夏休みの間により専門的な学びがしたいと思っていたところ、大学のスタディアドバイザーからこのプログラムを紹介してもらいました。
スタディアドバイザーは、単位の相談だけでなくサマースクールや奨学金の情報も教えてくれる職員の方です。ちなみに、サマースクールに参加したのは大学2年生の夏です。

アムステルダム大学にはスタディアドバイザーの方がいらっしゃるんですね!海外の大学には、日本の大学でなかなか耳にすることのない制度があるのも興味深いです。参加されたコースはどんな内容でしたか?

1週間ずつ、合計2つのコースに参加しました。
1週目は、質的研究法(インタビューなど)でした。
アムステルダム大学でも同様の内容を学んでいて、ホームレスシェルターでの調査の際には、罵詈雑言を浴びたこともあります。ただ、そうした経験をしたからこそ「信頼を得ることやインタビューの難しさ」を知ることができ、さらにシンガポールでのサマースクールで「インタビューをどのようにして成功させるか」を体感し学びを深めることができました。
2週目は、ミックスドメソッド(質的と量的研究の両方を使う方法)について学びました。
これはアムステルダム大学では3年次に学ぶ内容なので、先取り的な意味合いもありました。
実際に現地の方にお話を聞く場面もあったんですね!フィールドワークは、座学の何倍も学びを得られる感じがしますよね。ちなみに、自由時間はどんな風に過ごしていましたか?

授業は午前9:30〜12:00、午後は13:00〜15:00と内容はかなり充実していたのですが、午後から授業のときは午前中に観光や寺院・モールなどに足を運ぶこともありました。
宿泊施設が用意されるプログラムではなかったので、自分でホテルを手配し、チャイナタウンに滞在していました。ただ、NUSのキャンパスはバスで45分ほど離れた山間にあるので、移動はちょっと大変でした。キャンパスは日本の大学に近い印象を受けました。
マーライオンに象徴されるTHE・シンガポール!といった場所ではないところで学んでおられたんですね!参加者はどんな方が多かったですか?

復旦大学(中国)からの団体参加の学生が10人ほどいて、他にもニュージーランドや韓国、NUS在籍の学生がいて、多国籍な環境でした。私は1人で申し込んだので、最初は知り合いがいなくて不安もありましたが、すぐに打ち解けることができました。

多国籍な環境に身を置くことは、本当に貴重な経験になりますよね。
長瀬さんはこのプログラムへの参加の際、奨学金のサポートも受けられたそうですね。

はい、U21(Universitas 21)という国際的な奨学金制度を利用しました。
アムステルダム大学のスタディアドバイザーから紹介してもらい、経済状況や志望理由などを説明するエッセイを提出し、まず書類選考を通過しました。
最終的には抽選で選ばれ、結果として2000ユーロ(約32万円)の支援を受けることができました。
英語漬けの中高時代
さてここからは、長瀬さんのバックグラウンドについて深くお聞きしていきたいと思います。そもそも、海外大学を目指すようになったきっかけを教えてください。

中学1年生の頃に英語の楽しさに気づいたことが出発点でした。それまで勉強が楽しいと思ったことはなかったのですが、英語だけは別で、「将来は海外で暮らしてみたい」と思うようになりました。
そのため、中学3年時に国際バカロレア(IB)の中学に編入し、高校でも国語以外の授業を英語で受けていました。そのような環境で中高時代を過ごしたので、高校卒業時には、海外大学での授業に参加できるレベルの英語力を身につけることができました。

高校卒業後はアムステルダム大学へ進学されたということですが、社会学を選択された理由はなんだったのでしょう?

英語を学ぶ人は社会問題に関心を持つ人が多いと思っているのですが、自分もその1人でした。
当時高校生の私は、社会に不満を持っていたり世界各国の抱える問題に課題意識があり、社会問題を幅広く学びたいと考え社会学部を選びました。

素敵です!!海外大学への進学というと、経済的な問題がどうしても付きまとうというイメージがあります。長瀬さんは進学にあたって不安はありませんでしたか?

もちろんありました。兄弟も多く、円安やインフレの影響もあったので。
でも祖父が会社を経営していたこともあり、大学までの学費と生活費を支援してもらいました。
コロナの影響もあり、最初の頃は授業もオンラインが多かったですが、無事に3年間学びきることができました。

迷いは興味がある証拠。まずは一歩踏み出すこと!
大学卒業後の現在は、SNSを中心に発信活動をされているとのこと。ぜひ詳しくお聞きしたいです!

はい、現在はInstagram(@niji_nagase_japan)で、日本の社会問題に関する動画を毎日投稿しています。
SNS上での日本についての発信は多くありますが、キラキラしたポジティブな面が中心。でも、外国人が日本で性被害を受ける事例が存在したり、またその問題とは別に、男女格差・東アジア独特の美の基準などの課題も山積しているのが日本の現状です。そのため、日本という国がポジティブな面だけを持った国ではないこと、日本が完璧な国という訳ではないことをまずは「知ってもらうこと」が大切だと考え活動しています。
現在は、SNS上での活動とは別の仕事もしながら活動を続けています。最終的には事業化し、社会問題を伝える仕組みにしていきたいと思っています。

「知ってもらうこと」は簡単なようでなかなか難しいですよね。私もきっかけポータルを通じて、知ってもらうことの重要性と難しさを日々感じているので非常に共感しました。では最後に、進学や留学、挑戦を迷っている人に向けてメッセージをお願いします。

迷っているということは、それだけ興味がある証拠だと思うんです。本当に興味がなければ、迷わないはず。だから、その“迷い”を挑戦のサインとして受け取って、ぜひ一歩踏み出してみてほしいです。
そして、お金が理由で諦めそうな人も、奨学金やサポート制度は想像以上に多いんです。だからこそ、自分の選択肢を広げるためにも、まずは動いてみてほしい。その先に、きっと想像していなかった景色が待っていると思います。
あなたの挑戦を応援します!
長瀬さんのように、プログラムを活用して海外で学ぶことは誰にでも開かれた可能性です。
実は、世の中には参加費・海外への往復交通費・現地での宿泊費などが全て無料のプログラムもたくさんあります。
海外への挑戦はお金がかかるという理由で挑戦を諦めてしまっている方も多いのではないでしょうか。
ぜひ「きっかけポータル」を通じ、国内外の無料プログラムや返済不要の奨学金に申し込んでみてください。
次の扉を開くのは、あなたかもしれません!